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アトリエ・エルスールからエルスール財団へ 詩とダンスのために いま、新たなページが始まる

第5回エルスール財団新人賞

今年のエルスール財団新人賞受賞者が下記のように決定いたしました。

 
 
<現代詩部門>
柴田聡子

贈賞理由……柴田聡子はいわゆるシンガーソングライターであるが、その歌詞は飛躍や諧謔に満ち、こういってよければ、歌詞であることを超えている。では現代詩的かというと、もちろんそのガラパゴス化とはべつのところからやってきて、べつのところへ出ようとしている。要するに、詩として不思議にあたらしいのだ。詩集『さばーく』掉尾に収められた数篇には、本格的な詩の書き手としての力量が兆してさえいる。いずれにしても、天性のものと思われる言葉のセンスといまの時代の空気にふるえる感性のアンテナをあわせもつこの新人の登場を寿ぎたい。

選考委員:野村喜和夫(詩人)


贈賞理由……その詩を声に、声を自らのギターに乗せて、柴田聡子さんは、はにかみながら世界と闘う。明るいタナトスと品のよいエロス。謎めくユーモアとチャーミングな毒。やなんかを武器に。「歌-詩」だけじゃない。詩集『さばーく』の後半に収められた、お芝居の台本とか、あるいは「あとがき」さえも、滅茶苦茶に「詩」だ。いうまでもなく、詩とは「うた」。紙の上で言葉がすでにうたってる!(にしてもなんて美しい本。彼女の声みたいな。)彼女の肩書「シンガーソングライター」に、「現代詩人」のルビをふる。

選考委員:カニエ・ナハ(詩人・第4回エルスール財団新人賞受賞者)
<コンテンポラリー・
ダンス部門>
中村蓉

贈賞理由…中村蓉は映画のワンシーンや昭和歌謡の歌詞のままに踊る作品で人気を得た。だがそれでは、あとはもう「うまくなるだけ」で、観客から楽しまれ、愛されて終わるしかない。しかし中村はここ数年、内面の強い衝動を解放するような作品を立て続けに発表しているのである。ヒリつき、痛々しく、それでも両足で踏みしめて仁王立ち。観客をワクワクさせるダンスが中村の中から沸き上がってきている今を第2のスタートとして、新人賞を贈りたい。そしてその凄みをもって、また愛される作品も踊ったらいいのだ。

選考委員:乗越たかお(作家・ヤサぐれ舞踊評論家)
<フラメンコ部門>
永田健

贈賞理由…今年でエルスール財団新人賞も5回目となる。今回のフラメンコ部門の受賞者永田健さんは、これまでの受賞者と比べ、すでに中堅の領域に入りつつある新人だ。それにも関わらず永田さんを選ばせていただいたのには、彼がまだご自身を「新人」ととらえ、新人公演にチャレンジし続けていらっしゃることにある。
2013年、永田さんは日本フラメンコ協会主催の新人公演で「奨励賞」を受賞された。この時、私も選考委員の一人として永田さんに投票させていただいたのだが、驚くべきことに永田さんは選考委員の満票を獲得したのだった。新人公演の長い歴史の中でこんなことは初めてだったし、「彼に特別奨励賞を出してはどうか?」という提案もあったと記憶する。
こうして鮮烈なデビューを果たした永田さんだったが、今年の新人公演で拝見したバストンの「マルティネーテ」がまたすばらしかった。並外れたフラメンコのテクニックとアイレ、さらにはドラマチックに一曲を作り上げる構成力! その時の会場の熱気はすさまじかった。
この恐るべき新人の永田健さんに、今年のエルスール財団新人賞をお贈りしたいと思う。

選考委員:野村眞里子(プロデューサー、フラメンコ舞踊家)
なお、授賞式は後日、東京都内で開催いたします。

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