本文へスキップ

アトリエ・エルスールからエルスール財団へ 詩とダンスのために いま、新たなページが始まる

第7回エルスール財団新人賞

今年のエルスール財団新人賞受賞者が下記のように決定いたしました。

 
 
<現代詩部門>
藤本哲明(ふじもとてつあき)

贈賞理由 
藤本哲明は現代詩手帖に投稿後、間を置かずに共作詩集『過剰』および第一詩集『ディオニソスの場所』を刊行し、生存の危機と釣り合う詩的言語の危機そのものを詩行にするという果敢な試みを提示した。その後もいくつかの詩誌などで詩作や批評を展開し、ラディカルな新鋭としての存在感を十二分に発揮しており、エルスール財団新人賞を贈るにふさわしい。

選考委員:野村喜和夫、鈴木一平(前年度受賞者)
<コンテンポラリー・
ダンス部門>
渡邉尚(Watanabe Hisashi)

現在の舞台芸術でひときわ注目されているのが、強い身体性と高い芸術性を併せ持った「現代(コンテンポラリー)サーカス」である。様々な周辺芸術を取り込みながら、熱く勢いのある作品が世界中で生まれている。
そうした流れの中にあって、渡邉尚はひときわ特異な存在感を示し、世界中のフェスで引っ張りだこの存在だ。というのも、上に投げあげることが中心の西洋のジャグリングに対して、床や重力に親しむ「フロア・ジャグリング」を提唱し、自らの驚異的な身体性をもって実践。ある種の哲学的な衝撃をもって高く評価されているからである。
自らの身体を探求する様も常軌を逸した執念で(筆者のインタビューを参照されたい http://performingarts.jp/J/art_interview/1701/1.html)、異なった経路を辿りながらも、かつての舞踏と同じ地平にまで到達しているのが、じつに興味深い。もっとも「人と物が関わることは全てジャグリング」だと考えている渡邉にとっては、ダンスもまたジャグリングの様相のひとつに過ぎないだろう。
2015年にジャグリングカンパニー「頭と口」を立ち上げ、初の単独公演『MONOLITH』を上演。翌年には『WHITEST』を新カンパニーとしては異例のKAATで上演。ソロの代表作『逆さの樹』は日本のダンス界にも衝撃を与えた。
現在はカンパニーメンバーの儀保桜子とともに世界中のダンスやサーカスフェスをめぐっているが、2019年は日本での新作公演が予定されている。
ちなみにダンスの賞をジャグリングのアーティストが受賞するのは、我が国では初のことだと思う。一人で決められるエルスール財団新人賞だからこそ、こうして新しい扉を開いて行けることを誇りに思う。

選考委員:乗越たかお
<フラメンコ部門>
服部亜希子

贈賞理由…エルスール財団新人賞のフラメンコ部門も年々注目していただけるようになってきた。今年は、歴代の受賞者が一堂に会した公演『アントロヒア・デル・フラメンコvol.5』を開催したので、より一層のご注目をいただいているような気がする。とはいえ、この賞を立ち上げてからの選考基準と選考方法に特に変更点はない。すなわち、高度なテクニックを有し、フラメンコへの十分な理解があり、アーティストとして新しい世界を作る可能性をひめた新人であること。今年もこの3点に留意して選ばせていただいた。京都出身のバイラオーラ(フラメンコ舞踊家)服部亜希子さんである。
彼女のソロを初めて拝見したのは、2017年の日本フラメンコ協会主催の『新人公演』だった。曲は「シギリージャ」。この難曲を、新人離れしたテクニックと表現力で踊り切り、奨励賞を獲得した。これをきっかけに私は彼女に注目するようになったが、大劇場であっても、小さなスペースであっても、彼女が踊り始めると一瞬にして空気が変わるのを感じた。そこには、オフ・ステージでのやさしそうな雰囲気からは想像もできないような集中と爆発がある。「ああ、これが彼女のフラメンコなんだな」と、つくづく感じた。
服部さんはクラシックバレエから出発され、大人になってからフラメンコを始められたため、これからさまざまな挑戦をされることになるだろう。この才能が大きく花開けるよう、温かく見守っていただければ幸いである。

選考委員:野村眞里子
なお、授賞式は後日、東京都内で開催いたします。

バナースペース