第15回エルスール財団新人賞のコンテンポラリーダンス部門とフラメンコ部門の受賞者が下記のとおり決定いたしました。
なお、現代詩部門のみ11月中旬以降に発表予定です。
第15回エルスール財団新人賞
コンテンポラリーダンス部門受賞者
阿目虎南(あもく・こなん/Conan Amok)


(Photo by: Claude Hofer)
<贈賞理由>
阿目は本賞では初の舞踏を背景としたダンサーである。
阿目が2008年から2019年まで所属していた大駱駝艦は多くの才能を輩出してきた。しかし中には、舞踏という強烈な磁場から自由であることを示そうとして、あえて全く違うスタイルを打ち出しては別の磁場に囚われる、ということも多かった。
しかし阿目は、舞踏の大いなる遺産を受け継ぎながら、そこに自分ならではの身体世界を築き上げようとしている。
大駱駝艦の若手公演「壺中天」で彼の初振付作品『暁の権化』(2018)からそれは顕著に表れていた。おおらかな色気から発するエネルギーが、衣裳・小道具・舞台セットにまで行き届いている。
大駱駝艦卒業後の『Baroque』も小さなスペースにしっかりと美術で空間を創り上げていた。優れたダンサー達を使いながら、昨今のダンサーに希薄な「オレを見ろ」という強烈なエゴが身体に満ちており、大いに期待させた。
阿目は武蔵野美術大学で彫刻を学んでおり、その視座を生かした独自の「Multi Layered Body」を提唱している。
燦然CAMP生物の発生学を元にした『軸の形成』などを経て、2023年よりDance Base Yokohamaのレジデンスアーティストとなった。同所の”Wings”プロジェクトの支援を受けた『R/evolution(s)』では公募で選んだ舞踏経験のないダンサーをあえて選び、リサーチ公演を重ね2026年にはエディンバラ・フェスティバル・フリンジで上演。非常に高い評価を得、大きく世界に羽ばたいている。
(選考委員:乗越たかお)
<プロフィール>
阿目虎南
振付家・ダンサー、Body Researcher。
武蔵野美術大学で彫刻を学び、2008年から2019年まで大駱駝艦に所属、麿赤兒に師事。独立後は自身の身体研究「Multi Layered Body」を軸に、身体と空間、知覚、複数の力、他者との関係を探究する作品を国内外で発表している。舞踏によって培った強靭な身体性と、彫刻を背景とする造形的な視点を融合し、既存のジャンルにとらわれない独自の表現を追求。舞台作品に加え、ワークショップ、リサーチ、映像などにも活動を広げ、国際共同制作にも取り組む。2026年には、Dance Base Yokohama「Wings」クリエイターとして新作『R/evolution(s)』をエディンバラ・フェスティバル・フリンジで発表し、Asian Arts Special AwardでHighly Commendedに選出された。
第15回エルスール財団新人賞
フラメンコ部門受賞者
荒濱早絵(Sae Arahama)


(Photo by YUKI OMORI)
<贈賞理由>
私が荒濱さんの踊りに注目するようになってから5年が経つ。前回受賞者の松田知也さんは16年見続けての贈賞だったので、それと比べれば短いかもしれないが、毎日日本中で行われている膨大な数のライブや公演、コンクールの中で注目し続けるのはそれなりにたいへんなことなのだ。
最初に拝見したのは、2021年の久保田晴菜さん主催の沼津での公演『Pasión ~若きフラメンカたち~』。この時、荒濱さんは2部1曲目の「フィエスタ・ポル・ブレリアス」と3曲目の「ガロティン」で群舞を踊った。とりわけ、「フィエスタ・ポル・ブレリアス」は圧巻だった。また、2024年12月に名古屋で開催された実力派若手グループCélulaの初公演『PARADERO~古びた靴の導き~』では、シーンごとにいい味を出しており、2025年3月の東京での再演では主演の座を射止めた。2025年1月にガルロチで開催された次世代舞踊家育成プロジェクト公演『EL JARDÍN SECRETO(秘密の花園)/ Marco Flores』にも出演し、マルコ・フローレスさん振付の群舞の「グアヒーラ」を愛らしく舞った。公演での荒濱さんは、常に自分の役割を理解し、最高のものを作り上げるための努力を惜しまない貴重な踊り手なのである。
一方、ソリストとしての荒濱さんの魅力も半端ではない。2023年の日本フラメンコ協会主催の『新人公演』で「ソレア」を拝見したさい、オーソドックスな振付の中で光る個性に惹きつけられた。とりわけ後半の「ブレリア」に至る流れが素晴らしく、日本人の踊り手では希少な「ブレリア」の粋さにも目を奪われた。また、今年のCAFフラメンココンクール決勝の「アレグリアス」では、高度なテクニックに裏打ちされた王道の踊りを披露し、その存在を大いにアピールした。
こうして飛ぶ鳥落とす勢いの荒濱さんに『ロルカフェスティバル2026 ~沃野(ベガ)の月~』への出演をお願いしてからは、驚きの連続だった。6月に振付のためアルベルト・セジェスさんが来日すると、多忙だったにもかかわらず遠方から毎日スタジオにやって来てくれた。そして、テクニック的にも表現面でも相当難しい群舞「タラント~タンゴ」やパレハ「グアヒーラ」の振付を自分の糧として学び、毎日どんどん成長していく姿がまばゆかった。彼女のこの成長にリアルタイムで立ち会えたことを、私はたいへん嬉しく思い、また同時に今年の新人賞に最もふさわしい方だと感じた。
現在スペイン留学中の荒濱さんだが、群舞においてもソロにおいても舞台で光り輝く踊り手として、さらなる進化を期待してやまない。
(選考委員:野村眞里子)
<プロフィール>
荒濱早絵
東京外国語大学在学中にフラメンコに出会い、スペイン舞踊部代表を務める。岡本倫子、後藤なほこ、影山奈緒子に師事。
2012年に初渡西。アリシア・マルケス、マリア・モレーノ、マリア・デル・マル・モレーノ、マヌエル・ベタンソスなど、スペイン人アーティストらに師事。
渡西を繰り返しながら、精力的に公演、ライブへ出演し、東京、神奈川、千葉を拠点に講師活動を行っている。Estudio La Mar主宰。テレビ東京「しまじろうのわお!」、スペイン版Got Talentなどテレビ番組にも出演。フラメンコグループ「Célula」「Los Topos」としても活動中。
【主な受賞歴】
• 2023年: 日本フラメンコ協会 新人公演 バイレ・ソロ部門 奨励賞、ANIF会員賞 会場・配信ともにトリプル受賞
• 2025年: 令和6年度河上鈴子スペイン舞踊新人群舞賞およびダンスプラン2025オーディエンス賞 受賞
• 2025年: 日本フラメンコ協会 新人公演 バイレ群舞部門 奨励賞 受賞
• 2026年: CAFフラメンココンクール 海外留学賞 受賞
• 2026年: 令和7年度河上鈴子スペイン舞踊新人賞 およびダンスプラン2026オーディエンス賞 受賞
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